月野江すい ── 2023年の夜に融けだした、どこまでも甘く切ない透明なきらめき
2023年。世界が慌ただしく新しい景色へと移り変わり、人々が心のどこかで胸を打つような本物の瑞々しさを渇望していたあの季節。ビデオパッケージが並ぶ棚のなかで、まるでそこだけが静かな夜の光を切り取ったかのような、一際清冽で美しい光を放つ一人の少女が現れました。月野江すい。その名前に宿るどこか幻想的な響きが告げられた瞬間、私の胸には、静まり返った夜の海に反射する月明かりや、暗闇のなかでそっと光る星の粒のような、あまりにも瑞々しくて切ない憧憬の記憶が蘇りました。