松坂季実子 ── 1989年、激動の平成元年に舞い降りた、妖艶なる知性と品格を湛えた永遠のミューズ
1989年。日本全体が昭和から平成という新たな時代へと移り変わり、バブル経済のまばゆい熱狂が最高潮へと達していたあの特別な年。アダルトビデオというカルチャーが急速に洗練され、単なる刺激を超えた芸術性や個人のドキュメンタリーとしての表現を競い合っていたその激動の季節に、ビデオショップの棚の一角から、一際気高く、それでいて胸が締め付けられるほどに大人びた光を放って私たちの前に現れた一人の女性のことを、私は今でも深い郷愁とともに思い出します。松坂季実子。そのどこか古風な品格を感じさせ、それでいて一度耳にしたら胸の奥を焦がして離さない美しい名前をなぞるたび、私の胸には、新しい時代の始まりにあった瑞々しい孤独や、あの頃の僕たちが抱えていた熱い憧憬の記憶が鮮烈に蘇ります。