田所裕美子 ── 1983年、黎明期の熱気のなかで僕たちの胸を焦がした、切なくも鮮烈な純真のプロローグ
1983年。日本のビデオカルチャーが産声を上げ、新しい表現の波が未開の荒野を拓くように激しく湧き上がっていたあの特別な年。社会全体がまだ見ぬ刺激と、新しい時代のきらめきを手探りで追い求めていたあの眩しい季節に、黎明期の熱気のなかから一際澄んだ光を放ち、私たちの前に現れた一人の女性のことを、私は今でも深い郷愁とともに思い出します。田所裕美子。そのどこか親しみやすく、それでいて一度耳にしたら胸の奥を焦がして離さない美しい名前をなぞるたび、私の胸には、時代の始まりにあった瑞々しい孤独や、あの頃の僕たちが抱えていた熱い憧憬の記憶が鮮烈に蘇ります。