八木奈々──白衣の天使が、僕にだけ処方してくれた、甘く、切ない「治療」

その微笑みは、痛みを和らげる、鎮痛剤のようだった。 白衣をまとった、聖なる天使。 人の命と向き合い、その身を粉にして、誰かを救うために尽くす、尊い存在。

「八木奈々」

彼女が、その「元看護師」という経歴を背負って私たちの前に現れた時、私たちは、そのあまりにも清らかで、あまりにも献身的なイメージに、ひれ伏すような思いを抱いた。 こんな人が、本当に、この世界にいるのか、と。

彼女の魅力は、その全身から溢れ出る、底なしの「優しさ」と「母性」にある。 大丈夫だよ、と、すべてを包み込んでくれるような、慈愛に満ちた眼差し。 その眼差しで見つめられると、私たちは、まるで傷ついた子供のように、彼女にすべてを委ねてしまいたくなる。 この人に、癒されたい。この人に、甘えたい。この人に、「治療」されたい。 その、抗うことのできない、原始的な欲求。

彼女の作品に触れることは、一つの禁断の医療行為に、身を委ねる体験だ。 あの、純白の天使だったはずの彼女が、今、私たちの前でだけ、その白衣を脱ぎ捨て、誰にも見せたことのない、一人の「女」としての姿を、見せてくれようとしている。 その、あまりにも背徳的で、あまりにも官能的な「特別診察」。

私たちは、その行為に、強烈な罪悪感を覚える。 こんなにも神聖な存在を、自分だけの欲望で、汚してしまっていいのだろうか、と。 しかし、その罪の意識こそが、彼女が処方する、最も甘美で、最も効果的な「薬」なのだ。

八木奈々。 彼女は、傷ついた現代の男たちを救うために、現れた、本物の「天使」なのかもしれない。 ただし、その治療法は、あまりにも甘く、あまりにも危険だ。 一度その治療を受けてしまえば、もう、元の生活には戻れない。

私たちは、もう、彼女なしでは生きていけない、重度の「患者」なのだから。