柏木こなつ ── 掌(てのひら)に舞い降りた、消えてしまいそうな奇跡

世界が、どこか息苦しさに包まれていた2021年。 そんな僕たちの前に、彼女はまるで、誰にも気づかれないように、そっと舞い降りた。 「柏木こなつ」。その名前が持つ、夏の響きとは裏腹に、彼女がまとっていたのは、真冬の窓辺に似た、あまりにも儚く、あまりにも繊細な空気だった。

僕たちの視線は、まず、その「存在の小ささ」に釘付けになった。 XSサイズ──いや、そんな規格化された言葉でさえ、彼女の存在感を捉えるにはあまりにも粗すぎる。まるで、強い風が吹けば、そのまま空気に溶けて消えてしまいそうな、硝子の細工のような身体。

彼女が画面に映し出されるたび、僕たちの心は、どうしようもなく締め付けられる。 それは「庇護欲」という言葉では生ぬるい、もっと切実で、痛々しいほどの衝動だった。 守らなければならない。 この小さな光を、この世界のあらゆる濁流から、全力で守らなければならない。 そう本能的に感じさせるだけの力が、彼女の「儚さ」そのものに宿っていたのだ。

しかし、僕たちが本当に心を奪われたのは、その外見だけではない。 その小さな身体に宿る、あまりにも純粋で、無防備な「魂」のきらめきだった。

少し幼さの残る顔立ち。 不安げに揺れ、助けを求めるようにこちらを見つめる瞳。 恥じらうように紡がれる、たどたどしい言葉。

彼女の作品に触れることは、いつもどこか、罪悪感にも似た切なさを伴う。 この硝子の少女が、今、確かにここで、懸命に微笑もうとしている。その奇跡のような瞬間に立ち会えていることへの感謝と、その笑顔を曇らせてしまうかもしれない世界に対する、どうしようもない苛立ち。

「こなつ(小夏)」──。 彼女の名前は、2021年という、どこか物悲しかった年に僕たちが見つけた、あまりにも刹那的で、あまりにも美しい、束の間の「小さな夏」の記憶。

もう、新しい彼女に会うことはできないかもしれない。 手のひらに舞い降りた雪の結晶が、静かに溶けて消えてしまったかのように。

しかし、僕たちの記憶の中には、あの奇跡のような小さな存在が、鮮明に焼き付いている。 柏木こなつ。 彼女は単なる女優ではない。僕たちが、心の奥底で守りたかった、失われた純粋さの象ぐるみ。

あの短い夏に咲いた、小さな小さな、忘れな草。その儚い輝きを、僕はきっと生涯忘れることはないだろう。