時代の終わりには、その時代そのものを象徴するような人間が現れることがある。僕にとって、そしておそらく多くの同年代の男たちにとって、「大石香織」という女優は、きらびやかで、どこか浮かれていた「昭和」という時代の終わりに咲いた、あまりにも美しく、そしてあまりにも儚い幻の花だった。

誰の心の中にも、忘れられない放課後の記憶というものがあるだろう。夕日が差し込む静かな教室、机に残ったチョークの匂い、そして、隣の席に座る、あの子のはにかんだ笑顔。僕にとって、「水谷心音」という女優は、そんな甘く切ない青春の原風景を、あまりにも鮮やかに蘇らせてくれる存在だった。