林由美香 ── 永遠の隣人にして、映画の神様に愛された一輪の野花。35年という短すぎる季節を駆け抜けた、僕たちのひまわり
1989年、昭和から平成へと時代が大きく動いたあの年。 AV業界に、それまでの誰とも似ていない、一人の等身大の女の子が現れました。 林由美香。 彼女の存在は、きらびやかな装飾や作り込まれた偶像を必要としない、圧倒的な生身の人間としての輝きに満ちていました。 パッケージに映る彼女の笑顔は、都会の片隅で懸命に生きる僕たちの、すぐ隣にいてくれるような、不思議な親近感と温もりに溢れていました。
彼女の最大の魅力。それは、喜怒哀楽を全身で表現する人間臭さと、どんな場所でも美しく咲き誇る、ひまわりのような生命力です。
800本を超える出演作。 彼女はまさに、90年代という時代そのものを記録し続けた女優でした。 ビデオカメラの向こう側で、彼女は泣き、笑い、怒り、そして情熱的に愛を交わしました。 それは単なる性的なサービスなどではなく、一人の女性がその瞬間に確かに生きているという、魂の叫びのようでもありました。 ピンク映画の世界でも愛され、多くの映画人たちを魅了した彼女は、いつしかAV女優という枠を超え、映画という表現そのものに愛される存在になっていきました。
2005年、6月。 35歳の誕生日を目前にして、彼女はあまりにも突然に、この世を去ってしまいました。 訃報を聞いたあの日の衝撃を、僕は今も忘れることができません。 スクリーンやモニターの中で、あんなにも生き生きと、あんなにも逞しく輝いていた彼女が、もうどこにもいない。 その事実に、僕たちは自分たちの一部が剥ぎ取られたような、深い悲しみに沈みました。 けれど、彼女の物語はそこで終わることはありませんでした。 ドキュメンタリー映画などを通して、彼女の凄絶で愛おしい生き様は伝説となり、今もなお新しい世代のファンを惹きつけてやみません。
林由美香。 彼女は、僕たちが最も身近に感じ、最も深く愛した、昭和と平成の境目に咲いた花です。 少し低い声、くるくると変わる豊かな表情、そしてすべてをさらけ出す潔さ。 彼女が残した膨大な作品の数々は、単なるアダルトビデオではなく、一人の女性の生の記録として、今も僕たちの胸を熱く揺さぶり続けています。 さようなら、由美香さん。 あなたが駆け抜けた35年は、僕たちの心の中で、永遠に終わることのない輝かしい一本の映画として、今も上映され続けています。

