尾上若葉さんのことを思い出すとき、なぜか少し切なくなる。
それはきっと、彼女が“儚い存在”だったからだと思う。
ふわっと現れて、ふわっと消えてしまったような──
でも、確かに心に残っている。そういう人。
彼女は決して派手な女優じゃなかった。
むしろ、画面の中でもどこか遠慮がちで、控えめで。
それなのに、目が離せなかった。
たぶんその理由は、「守ってあげたくなる」だけではなくて、
彼女の中に“本気で感じているような瞬間”が確かにあったからだと思う。
最初に彼女を見たとき、「こんな人がAVに出てるのか」と驚いた。
黒髪、色白、丸みのある身体。
いわゆる“素人っぽさ”の中に、芯の通った透明感があった。
エロさというよりも、“生々しさ”のようなものが、胸に刺さってくる。
演技もリアルで、ときどき戸惑っているような表情を見せたり、
恥ずかしそうに笑ったりする。
その「素」が見え隠れする瞬間に、どれだけ多くのファンが惹かれたことだろう。
まるで、カメラの前で“頑張ってる彼女”を見守っているような感覚になった。
引退したとき、正直寂しかった。
でもどこかで、「彼女らしいな」と思った。
無理に引き延ばさず、綺麗なまま、静かに姿を消していく。
それもまた、尾上若葉という存在の“美しさ”だった気がする。