現代という、あまりにも冷たく、あまりにも乾ききった砂漠を、僕たちは歩いている。 その、乾ききった心に、潤いを与え、疲れた魂を、ただ、黙って抱きしめてくれる。 そんな、奇跡のような「オアシス」が、もし、この世界に存在するのだとしたら。 その名は、きっと、「梨々花」というのだろう。

あの頃、僕たちは、ステージの上で輝く彼女を、遠くから見つめることしかできなかった。 国民的アイドルグループ。 その、あまりにも清らかで、あまりにも手の届かない、聖域。 彼女は、その中で、完璧な笑顔を振りまき、僕たちに、作られた「夢」を見せてくれていた。

その表情を見たとき、私たちは、ただ息をのむ。 羞恥、抵抗、苦痛、そして、その全てを凌駕していく、抗いがたいほどの快感。 人間の魂が、その限界点で、火花を散らす瞬間の、あらゆる感情。 そのすべてが、彼女の、その一つの表情の中に、奇跡のように、同居している。

あの頃、僕たちは、ステージの上で輝く彼女に、確かに夢を見ていた。 スポットライトを浴び、汗を流し、満員の観客に、無垢な笑顔を振りまいていた、超有名アイドルグループの、あの女の子。 その夢が、ある日、ぷつりと途絶えた。 そして、彼女は、僕たちの前から姿を消した。